平戸島にしかない「言い伝え」のようで、何の根拠もない迷信です。
蝮の毒は、血液を溶かす毒と筋肉を壊す毒です。咬まれた近くの腕や足が急速に腫れ、時としてその腫れは胸など身体の中央にまで及ぶことがあります。その毒 で壊された筋肉から出てくるミオグロビンが腎臓障害を起こし、場合によっては死を招くこともあります。急速に腫れることで脱水状態となり、ミオグロビンに よる腎障害が重なって生命に危険な状態となるのです。脱水を治療するため、水分が主成分である点滴静脈注射で水分を補給し、腎障害を予防すれば殆ど治りま す。
昭和60年平戸市国保紐差病院に赴任した年の夏、ある方が蝮に咬まれ病院に駆け込んできました。入院治療して治ったので入浴を勧めたところ頑として「入ら ない」といわれるのです。夏の暑い盛りでしたので風呂にでも入ってさっぱりされたいだろうと思っていたのに・・・・よく聞いて
みると「75日は水にあたるな、小豆を食べるな」との言い伝えを守っておられたそうです。点滴用
の注射薬は殆どが水です!「風呂に入って、あるいは水を飲んで、あるいは小豆を食べて死ぬことがあったら私の命も絶ちます!」と、大見得を切って風呂に入ってもらい、水を飲
んでもらい、死なないことを証明して退院していただきました。
(院長 押淵 徹)
蝮(まむし)は、咬まれたら人間の生命を脅かす毒を持ち、昔から大変恐れられている動物です。
稲作が始まる初夏に始まり、秋の穫り入れ時期まで出没し農家の皆さんには大変恐れられています。独特の風貌も加わって、しつこく絡む粘着気質の代名詞ともなるくらいです。「あいつは蝮
(まむし)みたいな奴」との陰口は「ねちっこくていやらしく、とことん絡む」表現のようです。
その生態は暗がりに潜んでいて、うっかり草むらなどに手を突っ込んだり、素足を踏み込むと飛び掛るように襲ってきます。その攻撃性、俊敏性から「暗がり でも目が見えるすばらしい視力があるに違いない」とおもわれ、「その目玉をくりぬいて食べると、きっと衰えてきた視力の回復が計れる」と信じられてきたよ うです。
しかし全く違います。蝮は全く目が見えません。近づいてくる動物の体温を感知するセンサーの働きで攻撃してくるのです。餌になる目の見える動物(蛙など) は、夜は動けませんから夜に餌を求めて動き回るのです。暗がりに潜んでいるのです。餌が集まる水田の水口(みなくち)草むらなどに不用意に素手を差し込ま ない、素足で畦道、草むらを歩かない用心をしましょう。
蝮=敵を知り、己を守れば 農作業も危うからず!
(院長 押淵 徹)
①アレルギー性鼻炎とは?
体に外から侵入してくる細菌やウィルスをやっつける働きが免疫です。
体質や環境により、この免疫が、本来反応しなくてもよいはずのホコリや花粉や食物などに過剰に反応するのがアレルギーです。原因物質(抗原)を吸い込む場 合、鼻で過剰な反応が出ます。これがアレルギー性鼻炎です。反応はくしゃみ、鼻汁、鼻詰まり、という症状になります。
②アレルギー性鼻炎の原因(抗原)は?
・年中症状がある人は、ダニ、ホコリ(ハウスダスト)、カビ、ペットの毛
・春に症状が現れる人は、スギ花粉、ヒノキ花粉
・初夏から秋に症状が現れる人は、イネ科の雑草の花粉
・秋に症状が現れる人はブタクサやヨモギといった雑草の花粉
が原因のことが多いようです。
平戸の特徴として、周囲を海に囲まれているので他地域に比べてスギ花粉症の方は少ないようです。一方で牛の飼育が盛んなため牧草が多く、牧草に利用されるイネ科植物の花粉症が多い印象です。
③アレルギー性鼻炎の診断法は?
・鼻鏡検査(鼻の中を診る。)
・レントゲン検査(他の病気の有無を診る。)
・鼻汁好酸球検査(鼻汁にアレルギーの細胞出てきているかを診る。)
・血清特異的IgE抗体検査(どの原因物質に反応しているのかを診る。)
等で診断します。
④アレルギー性鼻炎の治療法は?
第一に原因物質を吸わないようにすることです。花粉症にはマスク、ダニ・ホコリには掃除などです。
薬は一般的に、のみぐすりの抗アレルギー薬やステロイド点鼻薬を使います。症状により薬の種類を変え、軽症には1種類、重症になると2~3種類の薬を併用 します。ここで注意していただきたいことですが、医師や薬剤師の指示なしで市販の点鼻薬を毎日使うのはやめましょう。市販の点鼻薬の中には、血管収縮薬が 混じっていることが多く、毎日使うことによって鼻の血流が阻害され、かえって薬が切れたときの鼻詰まりがひどくなってしまいます。
⑤鼻症状でお困りの方は?
他の病気のこともありますので、一度耳鼻咽喉科に受診されることをお勧めします。
室内ダニの除去 | |
①掃除機がけは、吸引部をゆっくりと動かし、1畳 当たり30秒以上の時間をかけ、週に2回以上行う。 | |
②布張りのソファー、カーペット、畳はできるだけ やめる。 | |
③ベッドのマット、ふとん、枕にダニを通さないカ バーをかける。 | |
④ふとんは週に2回以上干す。困難な時は、室内干 しやふとん乾燥機で、ふとんの湿気を減らす。週 に1回以上掃除機をかける。 | |
⑤部屋の湿度を50%、室温を20から25℃に保つように努力する。 | |
⑥フローリングなどのホコリのたちやすい場所は、拭き掃除の後に掃除機をかける。 | |
⑦シーツ、ふとんカバーは週に1回以上洗濯する。 | |
スギ花粉の回避 | |
①花粉情報に注意する。 | |
②飛散の多い時の外出を控える。外出時にマスク、メガネを使う。 | |
③表面が毛羽立った毛織物のコートの使用は避ける。 | |
④帰宅時、衣服や髪をよく払ってから入室する。洗濯、うがいをし、鼻をかむ。 | |
⑤飛散の多い時は、窓・戸を閉めておく。換気時の窓は小さく開け、短時間にとどめる。 | |
⑥飛散の多い時のふとんや洗濯物の外干しは避ける。 | |
⑦掃除を励行する。特に窓際を念入りに掃除する。 | |
ペット(特にネコ)抗原の減量 | |
①できれば飼育をやめる。 | |
②野外で飼い、寝室に入れない。 | |
③ペットと、ペットの飼育環境を清潔に保つ。 | |
④床のカーペットをやめ、フローリングにする。 | |
⑤通気をよくし、掃除を励行する。 | |
⑥フローリングなどのホコリのたちやすい場所は、拭き掃除をした後に掃除機をかける。 |