救急医療の現場から「心房細動」

救急医療の現場から「心房細動」

皆さん心房細動という不整脈をご存知でしょうか。心臓は左右の心房と心室という4つの部屋からできていますが、心房の部分が細かく震え脈が乱れる疾患が心 房細動です。この震えている心房の中で血液がよどみ、血栓という小さな血塊が形成されます。この血栓がちぎれて頚動脈から大脳動脈へと流れ詰まると心原性 脳塞栓症といわれる広範囲の脳梗塞を引き起こし、重篤な半身麻痺、言語障害などを呈します。


心不全に対する新しい治療法として簡易ヘルメット型人工呼吸器療法も肺水腫などで威力を発揮しています。この宇宙服のようなビニール製のヘルメットの中に 陽圧酸素を送り込み、肺水腫で虚脱した肺を拡げ酸素化を図る治療法です。図②は左冠動脈主幹部病変による心原性ショックで治療中の方ですが、気管内挿管不 要で苦痛がなく、鎮静処置もいらず、視界がよく、皆と会話もできるのが良い点です。

夜間うめき声をあげ突然死する「ぽっくり病」の原因でもある特発性心室細動(ブルガーダ症候群)は、40~50代の働き盛りの日本人男性に多い疾患です。 検診で心電図異常を指摘された方や失神の既往者、身内に突然死の方がおられる方は、循環器科を早めに受診されてください。除細動器付ペースメーカー (ICD)で突然死を予防することが可能です。

平戸の救急救命においても、病院スタッフ、救急救命士など多くの方々の日夜を問わぬ献身的な働きと、除細動器(AED)の使用で数多くの命が救われる時代となっています。

(副院長 飯野 俊之)