蝮(まむし)は、咬まれたら人間の生命を脅かす毒を持ち、昔から大変恐れられている動物です。
稲作が始まる初夏に始まり、秋の穫り入れ時期まで出没し農家の皆さんには大変恐れられています。独特の風貌も加わって、しつこく絡む粘着気質の代名詞ともなるくらいです。「あいつは蝮
(まむし)みたいな奴」との陰口は「ねちっこくていやらしく、とことん絡む」表現のようです。
その生態は暗がりに潜んでいて、うっかり草むらなどに手を突っ込んだり、素足を踏み込むと飛び掛るように襲ってきます。その攻撃性、俊敏性から「暗がり でも目が見えるすばらしい視力があるに違いない」とおもわれ、「その目玉をくりぬいて食べると、きっと衰えてきた視力の回復が計れる」と信じられてきたよ うです。
しかし全く違います。蝮は全く目が見えません。近づいてくる動物の体温を感知するセンサーの働きで攻撃してくるのです。餌になる目の見える動物(蛙など) は、夜は動けませんから夜に餌を求めて動き回るのです。暗がりに潜んでいるのです。餌が集まる水田の水口(みなくち)草むらなどに不用意に素手を差し込ま ない、素足で畦道、草むらを歩かない用心をしましょう。
蝮=敵を知り、己を守れば 農作業も危うからず!