口腔ケアは食の自立や肺炎予防の出発点です

口腔ケアは食の自立や肺炎予防の出発点です

口腔ケアとは、日常的に歯ブラシ、歯間ブラシ等を使い、歯・歯ぐき・舌・入れ歯を清掃して口の中をキレイにすることと、もう一つは口腔内の疾患の予防や口の周りの筋肉を含め、噛む・食べる・飲み込む機能のリハビリテーションを行うことをいいます。

口腔ケアを行うことで、誤嚥性肺炎の予防、口腔疾患の予防、口から食べることでQOL(Quality of Life =その人らしい満足した生活を続けられること)の向上につながるなどの、さまざまな好循環が期待できます。

①誤嚥性肺炎の予防
食物が誤って気管に入ることを誤嚥と言います。通常気管内に異物が入ると「むせや咳」により異物を気管から出そうという反射が働きます。しかし、加齢や脳の病気などの影響によりむせや咳という反射が鈍くなり本人の気づかない時、睡眠中などに気管への誤嚥をおこしてしまいます(不顕性の誤嚥)。この時、口の中の細菌も一緒に誤嚥するため、誤嚥性肺炎を起こしやすいと言われています。
誤嚥性肺炎の2大ポイントは、「口腔の清掃」と「機能回復」です。歯磨きなどにより口の中を清潔にして細菌そのものの数を減らします。そして、食べたり飲み込んだりする摂食・ 嚥下機能を回復させ、誤嚥を防ぐことも大切です。

②口腔疾患の予防
適切な口腔ケアを行うことで、むし歯や歯周病などの歯科疾患やカンジダ口内炎などの各種口腔疾患の 予防が期待できます。

③QOLの向上
活動が制限されている要介護者の場合、口から食べる・味わうという機能は、健康な人の場合よりもそのQOLにおいて大きな割合を占めます。口腔ケアの充実により、口から食べること、おいしく食べることがすべての要介護者のQOLの向上と自立に繋がることになります。
※食事介護について
 摂食・嚥下機能の低下した高齢者の食事介護をする際は、固形物より汁物のほうがむせやすいですので、スープなどにはとろみをつけるといいでしょう。要介護者がきちんと飲み込むのを確認してから、次の一口を口に運ぶようにしてください。また、胃からの逆流を防ぐため、食後2時間程度は座った姿勢を保つのがよいでしょう。

 

(療養病棟看護班 看護師 小楠 義史)