子どもの予防接種について

子どもの予防接種について

予防接種は、予防接種法に定められた定期予防接種と、法に定められていない任意予防接種(保護者の希望により接種する予防接種)の2種類があります。任意予防接種のうち、ヒブワクチン、小児用肺炎球菌ワクチン、子宮頸がん予防ワクチンについては、定期接種へ位置づける方向で、今後、予防接種法の改正が予定されています。この内容は平成25年1月1日現在の情報としてお知らせします。

現在、法律で定められているものには、BCG、ポリオ、4種混合、3種混合、2種混合、麻しん風しん混合、日本脳炎があります。今回は、4種混合、麻しん風しん、日本脳炎ワクチンと、そのワクチンで発症や重症化を予防できるとされる病気について説明をします。

予防接種 対象年齢
4種(ジフテリア・百日せき・破傷風・不活化ポリオ)混合 生後3~90か月未満
麻しん風しん混合 1期:1歳~2歳未満

2期:5歳~7歳未満の小学校就学前の1年間(いわゆる年長児)

3期:中学校1年生(平成24年度で終了予定)

4期:高校3年生(今年度で終了予定)

日本脳炎 1期初回:生後6か月~7歳6か月未満(標準:3歳)

1期追加:生後6か月~7歳6か月未満で、1期初回接種終了後、概ね1年経過した人 (標準:4歳)

2期:9歳以上13歳未満(標準:9歳)

ヒブワクチン 生後2か月~5歳未満
小児用肺炎球菌ワクチン 生後2か月~5歳未満
子宮頸がん予防ワクチン 中学1年生~高校1年生相当年齢の女子

4種(ジフテリア・百日せき・破傷風・不活化ポリオ)混合

4種混合ワクチンは、これまでの3種混合ワクチンと不活化ポリオワクチンをあわせたワクチンで新しく開発され、平成24年11月1日から、使用されています。このワクチンは、3種混合及び不活化ポリオについて、いずれも未接種の人だけが対象となります。すでにいずれかのワクチンを接種したことのある人は、従来どおりそれぞれのワクチンを接種することになります。

①ジフテリア ジフテリア菌の飛沫感染で起こり、症状は高熱、のどの痛み、犬吠のようなせき、嘔吐などです。菌の出す毒素によって心筋障害や神経麻痺を起こすこともあります。

②百日せき 百日せき菌の飛沫感染で起こります。普通の風邪のような症状ではじまり、続いて連続的にせき込むようになります。せきのあと急に息を吸い込むので、笛を吹くような音が出ます。肺炎や脳炎などの合併症を起こすこともあります。

③破傷風 土の中にひそんでいる破傷風菌が傷口から感染して、菌が増えると菌の出す毒素のために、口が開かなくなったり、けいれんを起こしたり、死亡することもあります。けがをしやすい子どもさんは特に注意が必要です。

④ポリオ ポリオウイルスはヒトからヒトへ感染します。感染したヒトの便中に排泄されたウイルスが、口から入り、のどまたは腸に感染します。ポリオウイルスに感染すると100人中5~10人は、かぜのような症状があり、発熱を認め、続いて頭痛や嘔吐があらわれます。また、感染した人の中で、約1,000~2,000人に1人の割合で麻痺を起こすことがあります。

 麻しん風しん混合

 ①麻しん 麻しん(はしか)は、麻しんウイルスの空気感染によって起こります。感染力が強く、予防接種を受けていないと、多くの人がかかる病気です。発熱、せき、鼻汁、めやに、赤い発しんを主症状とします。最初3~4日間は38℃前後の熱で、一時おさまりかけたかと思うと、また39~40℃の高熱と赤い発しんがでます。高熱は3~4日で解熱し、次第に発しんも消失しますが、しばらく色素沈着が残ります。麻しんにかかった人のうち、1,000人に1人程度の割合で死亡することがあります。

②風しん 風しんウイルスの飛沫感染によって起こります。潜伏期間は2~3週間です。軽いかぜ症状ではじまり、発疹、発熱、後頚部リンパ節腫脹などがみられます。そのほか、眼球結膜の充血もみられます。発疹も熱も約3日間で治りますので「三日ばしか」とも呼ばれます。妊婦が妊娠早期にかかると、先天性風しん症候群と呼ばれる病気により、心臓病、白内障、聴力障害などの障害をもった児が生まれる可能性があります。

 日本脳炎

日本脳炎ウイルスの感染で起こります。ヒトからヒトへの感染はなく、ブタなどの動物の体内でウイルスが増えたあと、そのブタを刺した蚊が人を刺すことによって感染します。7~10日の潜伏期間の後、高熱、頭痛、嘔吐、意識障害、けいれんなどの症状を示す急性脳炎になります。流行は西日本地域が中心ですが、ウイルスは北海道など一部を除く日本全体に分布しています。

 任意予防接種と接種による副反応

任意予防接種とは、予防接種法に基づかない予防接種のことで、保護者の判断にて接種することができます。予防接種の説明書をよく読み、効果と副反応を理解し、医師と相談・納得した上で接種を受けるようにしましょう。指定された年齢であれば、現在無料で接種を受けられるものとしてヒブと小児用肺炎球菌、これらは、髄膜炎の重症化予防に効果的とされています。他にインフルエンザがあります。

 ご注意ください。

予防接種は体調のよい時に受けるのが原則です。体調などで気になることがあれば、事前にかかりつけの医師にご相談ください。

 

 

(保健センター保健師 伊藤純子)