カナダ地域医療教育を訪問してきました。

カナダ地域医療教育を訪問してきました。

カナダをご存知ですか?白地に赤のメープルリーフ、北米大陸の北部、アメリカ合衆国の北にある国です。面積は日本の27倍もあり世界で2番目に広い国ですが、人口は日本の約3分の1と少ないのです。国土は広いのですが人口が少ないので、田舎(へき地)が多い国なのです。

そんな「へき地」の医療を支えているのは「家庭医」と呼ばれる医師なのです。地域で活躍する医師がどのようなことを学んでいるのか、見聞してきました。

家庭医とは日本では馴染みのない言葉ですが、主に初診でお世話になる医師を指します。カナダの医療制度では、患者さんは紹介状なしで病院の専門医を受診することはできないのです。まず、家庭医の診察を受け、必要な場合、紹介状を書いてもらってはじめて専門医を紹介されるのです。

そこで、初診を担当するので家庭医の診療の範囲は広いのです。さらには診療だけでなく、地域の健康づくりや療養も担当している、地域に密着した医師なのです。そうです、平戸市民病院の役割と似ていますね。

カナダのへき地で活躍する医師を育成するために、田舎に医科大学を開設したのです。地域で活躍するために病院実習はへき地の病院で行うのです。そのために大学の先生が地域の先生と協力して医学部の教育を担当していました。受け入れている地域の市長さんにお話を聞いたところ、「地域に若い人が来てくれることは大歓迎!地域の皆さんに元気をくれる。ここで研修した医学生のうち数名、医師になって地域に戻ってきてくれた。」と受け入れに積極的でした。医学生も「地域だから責任が重いし、研修医が多い都市部よりも経験できる症例数も密度も濃い。」と、地域だから学べることが多いそうです。学長によると「この大学の卒業生のうち70%はへき地に勤務している。そうですよ。

平戸市民病院では関東や関西そして長崎県内から地域での研修を数多く受け入れています。これはカナダの制度にそっくりなのに驚きでした。そして、育てていくことが地域に勤務する医師を増やすために大切であると思います。そのためには地域にお住いの皆様のご支援やご協力が欠かません。若い医師が集う病院になるようこれからも頑張っていきます。

 

長崎大学病院へき地病院再生支援・教育機構 准教授 中桶 了太