テレビには連日「膝にいい」、「この成分は高齢者では減っています」、「これを飲むと視力が回復」などという宣伝や通販番組があふれています。果たしてこれらは本当に有効なのでしょうか?
コラーゲン・グルコサミン・ヒアルロン酸は有効?
これらの物質は私たちの骨や関節の軟骨、関節液の成分として大事なものです。
グルコサミンやヒアルロン酸は年を取るにつれてだんだんと少なくなるのは事実かも知れませんが、果たして飲んでそれらが目的の場所で実際に増えるというデータはどの広告を見ても示していません。
コラーゲンはタンパク質ですので、消化管でアミノ酸に分解吸収され全身のいろいろなタンパク質合成の原料となります。決してそのまま関節やお肌のコラーゲンになるわけではありません。化粧品にもコラーゲンが入っていますが、これは「保湿成分」として入れているだけで皮膚から吸収されることはありません。
グルコサミンやヒアルロン酸も体内でアミノ酸や炭化水素から作られます。食べても分解されてしまうので、そのまま関節のグルコサミンやヒアルロン酸になるわけではありません。
ただし、ヒアルロン酸を直接注射する方法は効果があります。たとえば顔の皮下に注射すればしわ取りになりますし、関節に注射すれば関節の動きを滑らかにする作用がしばらく期待できます。
ブルーベリーのアントシアニンは有効?
アントシアニンは、ブルーベリーに含まれるポリフェノールで、眼の網膜細胞で重要な作用をする光を感じるのに必要なロドプシンの再合成を促進する作用があります。多くのビタミン類と同様、不足状態では影響が出ますが、過剰にあってもそれ以上の効果は得られにくいと考えます。ですから沢山飲んだからといって老眼や白内障で衰えた視力が良くなるわけではありません。眼精疲労には少しは効果があるかも知れません。
ポリフェノールといえば赤ワインやムラサキイモを真っ先に思い浮かべる人が多いと思いますが、実は日本人が摂取しているポリフェノールのもとは意外にもコーヒーと緑茶なのです。アントシアニンにはポリフェノール一般にみられる「抗酸化作用」はありますから、抗動脈硬化作用、抗老化作用は期待できるでしょう。
サプリメントとがん
ビタミンAやEは抗酸化作用があり、老化防止やがんの予防にも有効なこと期待されています。しかし、これらのビタミン類似物質を服用すると喫煙者ではかえって肺がんが増えたという報告が相次いでいます。
青魚に多く含まれ、動脈硬化や認知症の予防に効果が期待されているDHAも、サプリメントで大量に摂ると前立腺がんが増えたという報告があります。
サプリで無理に大量に摂るよりも、食品でバランスよく摂取するのが健康にはいいようですね。
平戸市民病院医療監 賀來 俊