平戸市立病院新改革プラン
平戸市立病院新改革プラン
全国的に地方の公立病院は、少子高齢化による人口減少や医師の偏在化などにより、その経営状況は決して好調とは言えず、安定した医療を提供することが将来的に厳しくなることが懸念されています。
こうしたことから、総務省は、「新公立病院改革ガイドライン」を示し、全国の公立病院に対し、都道府県が策定する「地域医療構想」に沿った「新改革プラン」の策定を要請しました。
平戸市民病院と市立生月病院からなる平戸市病院事業も、長崎県が策定した地域医療構想に沿った形って「平戸市立病院新改革プラン」を策定し、持続可能な病院経営の指針と具体的な取り組みを定めています。
平戸市立病院新改革プラン策定の経過
新改革プランを策定するにあたり、地域の実情を踏まえた市立病院のあり方や、経営状況を客観的かつ総合的に検証するため、病院経営について専門的な知識や経験のある方や地域の代表者など6名でなる「平戸市立病院新改革プラン検討委員会」を組織し、改革プラン策定に向けて答申を求めました。
検討委員会は、6か月にわたり4回の会議を経て、様々な角度から平戸市立病院のあり方を検討しました。
そして、その結果を平成29年1月に平戸市長へ答申しました。
経過 | 年月日 | 主な内容・議題 |
第1回検討委 | 平成28年8月12日 | ・新改革プラン策定の趣旨 ・長崎県地域医療構想の概要 ・平戸市立病院の現状と概要 など |
第2回検討委 | 平成28年9月30日 | ・収支計画について ・数値目標について ・市立病院のあり方について など |
第3回検討委 | 平成28年12月2日 | ・市立病院のあり方について(答申案の検討) ・新改革プランの概要について |
第4回検討委 | 平成29年1月13日 | ・市立病院のあり方について(答申案の最終検討) ・新改革プランの概要について |
答申 | 平成29年1月27日 | 平戸市長へ答申書を提出 |
平戸市立病院新改革プランの概要
検討委員会の答申を受け、平成28年度から平成32年度までの期間を対象とし、「平戸市立病院新改革プラン」を策定しました。その骨子は、以下のとおりです。
- 第1章 新改革プランの策定について
- 第2章 市立病院の現状
- 第3章 地域医療構想を踏まえた役割の明確化
- 第4章 経営の効率化
- 第5章 再編・ネットワーク化
- 第6章 経営形態の見直し
- 第7章 新改革プランの点検・評価・公表
ここでは、市立病院の現状と数値目標についてご紹介します。
①国民健康保険平戸市民病院の現状
平戸市の中南部地区における唯一の有床医療機関で、100床のうち一般病床58、療養病床42床で運営しています。また救急告示病院として365日24時間救急患者を受けれる傍ら、訪問看護ステーションや居宅介護支援事業所、通所リハビリテーションなど介護保険事業も展開しています。医師の確保については、困難な状況が続いており、切れ目のない研修医の受け入れを行っているものの、医師不足は慢性化しています。経営の状況をみると、患者数は、減少傾向にあるものの、地方公営企業法の全部適用へ移行するなど、経営健全化策が功を奏し収支改善傾向にあります。
②平戸市立生月病院の現状
平戸市生月町唯一の有床医療機関で一般病床60床で運営されています。市民病院と同様、救急患者の受け入れを含めて住民にとって必要不可欠な医療機関となっています。医師確保の課題についても同様で、現在4名体制であるため個々の医師への負担が大きくなっていることが問題と言えます。また、全員が内科医であることから、診療科目の偏在や手術ができないなどの問題も抱えます。経営の状況は、病床利用率が70%前後で、域内の人口減少による患者数の減少が顕著ですが、一定の純利益を確保している点と十分な資金残高で推移していることから、安定的な経営ができているといえます。
③数値目標
(1)患者数の動向(収入確保の観点)
項目 | H26実績 | H27実績 | H28見込 | H29予算 | H30目標 | H31目標 | H32目標 | |
市民 | 入院患者数(1日あたり) (人) | 91.3 | 90.1 | 85.0 | 87.0 | 86.5 | 87.0 | 87.5 |
外来患者数(1日あたり) (人) | 226.9 | 226.7 | 213.0 | 218.0 | 215.0 | 210.0 | 205.0 | |
病床利用率(%) | 83.0 | 90.1 | 58.0 | 87.0 | 86.5 | 87.0 | 87.5 | |
生月 | 入院患者数(1日あたり) (人) | 44.8 | 40.8 | 45.6 | 48.0 | 48.0 | 48.0 | 48.0 |
外来患者数(1日あたり) (人) | 129.7 | 128.9 | 123.3 | 125.0 | 130.0 | 130.0 | 130.0 | |
病床利用率(%) | 74.7 | 68.1 | 76.0 | 80.0 | 80.0 | 80.0 | 80.0 |
(2)給与費・職員数の動向(経費節減の観点)
項目 | H26実績 | H27実績 | H28見込 | H29予算 | H30目標 | H31目標 | H32目標 | |
市民 | 給与費の対医業収支比率(%) | 64.9 | 63.3 | 63.2 | 65.4 | 63.9 | 63.3 | 63.7 |
100床あたりの職員数 (人) | 123.3 | 140.5 | 141.5 | 137.9 | 142.9 | 142.9 | 142.9 | |
生月 | 給与費の対医業収支比率(%) | 73.8 | 74.3 | 71.8 | 71.0 | 68.5 | 67.2 | 66.4 |
100床あたりの職員数 (人) | 111.2 | 114.5 | 109.2 | 107.8 | 110.0 | 110.0 | 110.0 |
(3)経常収支等の動向(経営改善の観点)
項目 | H26実績 | H27実績 | H28見込 | H29予算 | H30目標 | H31目標 | H32目標 | |
市民 | 経常収支比率 (%) | 96.1 | 101.1 | 99.7 | 97.0 | 100.8 | 100.5 | 100.4 |
医業収支比率 (%) | 82.4 | 86.6 | 87.0 | 83.4 | 88.7 | 89.8 | 87.7 | |
生月 | 経常収支比率 (%) | 100.8 | 100.5 | 100.7 | 100.3 | 102.4 | 102.7 | 103.3 |
医業収支比率 (%) | 85.0 | 83.9 | 86.8 | 86.8 | 89.1 | 90.1 | 89.4 |
以上のほかにも、地域包括ケアシステムの構築による医療・介護・福祉の連携強化や、訪問看護、訪問リハなどの在宅診療の拡充など、平戸市立病院が求めらる姿を示しています。
また、具体的な取り組みとして、人材登用や事業形態の見直し、新たな経費節減策、健診等の勧奨による健康意識の向上、財源確保を含めた施設改修計画、電子カルテの共有による検査体制などの効率化などが挙げられています。
このプランに沿って、平成32年までの間、経営の安定化はもちろん、地域に愛される病院づくりを行っていきます。